【活動報告】UDタクシーの車いす追加料金設定の事例について
2021年5月、てごーすの利用者さんからの相談がきっかけで、広島市内のあるタクシー会社が、ユニバーサルデザイン(UD)車両であるトヨタジャパンタクシーを車いすで利用する際に1000円の追加料金を取っていることが判明しました。そこでさっそく監督官庁である中国運輸局に情報提供したところ、不適切であるとの見解が示され、広島県タクシー協会を通じてその会社へ指導がなされました。
しかし2カ月ほど経ってもその会社のホームページから追加料金の記載が削除されないため、直接確認したところ、運転手によるスロープ板の設置などの介助の料金として取っていることや、車いすから降りてタクシーの座席に乗り移れば追加料金は不要なこと、他のタクシー会社でも同様の事例があること、「介護タクシー」(乗客が車いす利用者など移動が難しい人に限定されるもの)の料金を参考にしていること、などが判明しました。
これは悪質な事例と考えられるので、DPI日本会議を通じて国土交通省に情報提供したところ、その会社に直接指導がされただけでなく、他県でも2件ほど同様の事例が発覚していたこともあり、8月16日、国土交通省から全国のタクシー事業者に対して、このような追加料金設定は不適切であるとの通知が出され、NHK全国ニュースや新聞でも報道されました。
このケースがはらむ問題点は…
〇トヨタジャパンタクシーは、通常の車体で車いすの人もそのまま乗車できるUD車両であるにもかかわらず、料金設定で車いす利用者だけを不利に扱っていた間接差別であること
〇いわゆる流し営業が無く、他のタクシー会社もほぼ無い地域なので、利用者が追加料金設定のない会社を選択することが実質的にできない状況であったこと
〇タクシー協会や運輸局も黙認していた可能性があること。
〇そのことで他のタクシー会社も同様の料金設定がされていて、そのことに疑問が持たれていなかったこと
〇車いす利用者の乗車・降車の介助に一定の時間を要することは変わりないため、その分、運転手の収入減になったりするとすれば、結果的に乗車拒否のような事例が起きてこないか、懸念もあること。
など、多岐にわたります。
今回この問題は一応の解決を見ました。てごーすの関係者ではタクシーはそれほど利用されていませんが、だからこそ今まで問題が表面化しなかったと言え、今後も新たな問題が起きてこないか、注視していく必要があります。